STATEMENT

洗車学科

この学科では車を洗い、磨くことを通して、かつて伝説のみがきッコたちが挑み、到達した究極の鏡面ボディーをめざす。車を洗い、磨くことを通して世界の成り立ちを体感することを目的とする。
車を磨き込んでいくと、どんどんボディーは鏡面になっていく。

完璧に磨かれたボディーは、単に鏡として外界を映し出すだけでなく、周りの空間と車自身との境界を曖昧にする。
磨く者の手は外界とボディー内部の世界との境界に触れる。その時、磨く者は意識をしっかりと持っていなければならない。そうでないと彼らは鏡面ボディーの誘惑に取り込まれてしまうだろう。もし学生が真の「みがきッコ」になりたいのであれば、そして彼らがこの世界の中で「みがきッコ」として存在したいのであれば、鏡面ボディーの誘惑に打ち勝たねばならない。

これまでにたくさんのみがきッコたちが彼らの磨きだした鏡面ボディーに取り込まれてしまった。
我々が信じている宇宙は、伝説のみがきッコ「高之と尚宏」によって磨かれたトヨタヴィッツの究極の鏡面ボディーの中に既に取り込まれているのかもしれない。

もしあなたが誘惑に取り込まれそうになったら、一つの真理を繰り返し唱えることだ。「車を磨くとは、すこしずつ塗装を削ることである」と。

『メトロノーム11号「何をなすべきか? 東京」』
監修 クレメンティーン・デリス
<ドクメンタ12マガジンズ>の特別号

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